アルバム制作プロセス:BPM決め〜ドラムレコーディングまで

どのくらいニーズがあるかわかりませんが、ここからは何回かに分けて、ニューアルバムの制作環境やプロセスについて、お話していきたいと思います。

まずはレコーディングの下準備からドラムレコーディングまでを取り上げます。

今回のアルバムは2箇所のスタジオでレコーディングが行われていまして、ドラムは世田谷にあるStar Woodsスタジオにて、その他のすべてのパートは僕(Kazuma)の自宅兼スタジオにて録られています。
そう、ほぼ宅録作品なのです。

というわけで、一部マニアックな話も含まれるのですが、僕自身宅録には長い試行錯誤をしてきて今回かなり満足のいく作品に仕上げることができたこともあり、誰かの参考になればとも思いますので、アルバム制作のプロセスをお伝えしていきたいと思います。

レコーディングは以下のような流れで進められました。

1.  BPM決め

今回のアルバムは組曲形式のため曲間がつながっている曲も多く、「まあ、大丈夫っしょ」な感じでフワッとレコーディングに入ると色々と破綻しそうなことが容易に想像できたため、下準備には今まで以上に時間と工数をかけました。

加えて、曲中のテンポチェンジがある曲やや拍子が変わる曲も少なくなく、DAWのクリックを鳴らしているだけではそもそも録ることができません。

そのため、あらかじめDAW上でテンポチェンジや拍子変えを仕込んだソングファイルを作っておき、それをMacごとリハスタに持ち込み、その場で全員ヘッドホンでクリックを聴きながらBPM(曲のテンポのこと)を調整していく、という地道な作業を行いました。

全体がつながっているので、1曲のテンポを変えると他にも影響するため、何度もテンポ調整を行いながら、全体のストーリーが破綻しないようにBPMを調整していきました。

当然、1回のリハで決まるわけもなく、家で聴き直して、ここはもっと早くしよう、ここは落ち着かせようとメンバー間で議論しながらすり合わせ、またスタジオで試して、ということを繰り返しました。


2. プリプロ

BPMが決まったら、次はレコーディング用バックトラック制作です。いわゆるプリプロです。メンバーがレコーディング時に聴くための音源を作っていきます。

今回はレコーディング時に必要に応じてパートの出し入れ(レコーディング時に聴きたい楽器のレベルを上げたり、不要な音はミュートしたりといった調整すること)ができるように、DAW上では別トラックにパラで(パートごとに別々に)録りました。

準備が結構面倒だったり、同じ部屋で同時に演奏しているので当然パート間の音の被りはありますが、それでもレコーディング時に聴きたい音になるようバランスを整えやすくなるのは、演奏上大きなメリットです。

プリプロ時のオーディオインターフェイスは、同時に16インプットまで対応しているためバンドの一発録りに適したRoland STUDIO-CAPTURE UA-1610をリハスタにてレンタル。
なかなか使い勝手が良くてお世話になりました。

https://www.roland.com/jp/products/studio-capture/


3.  ドラムレコーディング

プリプロが完了したら、いよいよレコーディング本番です。
まずは全ての基礎となるドラムから。

宅録スタジオは防音が施されているものの、5畳程度しかないためドラムRecは流石に無理なのと、ドラムのマルチマイクセッティングは専門家の力を借りるのが一番なので、外部のレコーディングスタジオを活用します。

今回は良心的な価格ながら機材、エンジニアさんの腕前ともにGoodなStar WoodsスタジオでドラムRecを行いました。

充実のアウトボード類

レコーディングは、スタジオのProToolsにインポートしたプリプロ音源をバックトラックとして進めていきました。
綿密な下準備の甲斐あって、プリプロ音源はバッチリ機能し、テンポ、流れともにとてもスムーズ。
難易度の高い楽曲群ながら、ドラムのSasakou氏の素晴らしい集中力・演奏力により、2日程で完録となりました。素晴らしい!
演奏、録り音ともに文句なしで、その先のレコーディングへの期待が高まるセッションとなりました。

以降は宅録環境でのレコーディングに進みますが、本日の投稿はいったんここまで。
宅録環境での機材やレコーディング方法等に触れながら、引き続きマニアックなお話をしていきたいと思います!

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